建設業界の物価上昇(労務単価上昇)は非常に深刻って話

建設情報

昨今良く耳にする物価上昇、労務単価上昇。

世間一般でもとても影響力のある話題ですが、

こと建設業界においては非常に深刻な問題です。

なぜこれほどまでに建設業界では余波を受けているのか、

サブコン営業マンである筆者の実体験を交えて解説します。

契約から着工までが長い

建設業界は契約(請負金額)が確定してから実際の着工まで期間が空くことが多いです。

契約から着工までが1年空くなんてこともザラにあります。

恐ろしいことにこの1年間で物価上昇・労務単価上昇が発生するわけですね。

この空白期間が物価上昇のおおきな煽りを受ける理由です。

請負金額が高額

建設業界の契約金額はとてつもなく高額なので物価上昇の煽りをモロに受けます。

例えば国立競技場の建設費は約1,500億円です。

もし国立競技場の施工中に物価上昇が5%発生したと仮定したら?

1,500億円×105%=1,575億円です。

たった5%UPしただけで75億円も費用がアップするわけです。

恐ろしくないですか?

特に長工期の現場であればある程、物価上昇の危険性が高まります。

数年前の概算で予算取りする

もう一つ厄介なのが、

建設費の予算は数年前の概算見積で予算取りする場合が多いということです。

ただでさえ仕様が曖昧な状態での概算見積な上に、物価上昇が絡んでくると目も当てられません。

概算時で予算を取って、実際に精算見積をしてみたら費用が2倍になったという話もザラにあります。

施主(建築主)と交渉するゼネコンはかなり苦労していると思います。

サブコン営業マンの筆者は予算が合わなければ辞退すれば良いので、契約前の案件であれば気が楽ではありますね。

物価上昇の悪影響

物価上昇が起きるとどんな悪影響があるのでしょうか?

ざっくりと説明してきます。

契約前の場合

物価上昇の影響で予算との乖離が大きい場合はプロジェクト延期、凍結の可能性があります。

もしくは予算に無理やり合わせる為に常識外の値段交渉を押し付けられたり、無茶なVECDの提案を求められる場合もあります。

契約後

契約後の物価上昇は施工者側(請負側)にとっては非常に深刻な問題です。

その理由としては元々想定していた工事原価から物価上昇によって余計な原価が必要になるからです。

もちろん施工者側としては単純に物価上昇を負担するわけにはいきませんので、施主へと物価スライド交渉を打診します。

ただ施主としても単純に施工者側の要求を呑むことは出来ません、何せ余計な費用がかかるわけですからね。

施工者側としては実勢のUP率で施主へ金額交渉を持ちかけますが、施主からすれば根拠も無い金額を許容できませんよね。

機械等の物価上昇はメーカーなどの発行書類があるので説明がしやすいですが、労務単価は非常に説明が難しいです。

ここで交渉の根拠となることが多いのが物価本です。

しかし物価本の物価上昇率は実勢価格よりも低い場合がほとんど。

そうなると施工者側としてはとても苦しい状況になるわけです。

基本的には着工中に物価上昇が発生すると、施工者側が不利な場合が多いです。

工期が長い現場ほど物価上昇のリスクが大きいので注意が必要ですね。

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